江戸の見世物
江戸時代後期の見世物は菊人形や曲芸、見世物小屋等ありますが当時
人気だったのは青竹を使った籠細工でした。
この図は国貞の作品で応需と記されているので、プロモーターからの依頼か好事家からの依頼か
わかりませんが、国貞が33才頃の作品でしょうか?浅草寺で1819年開催された一田庄七郎の
籠細工を余す事なく描いています。
三国志演義から関羽と青龍刀を掲げる周倉、赤鬼、孔雀、熊、鹿、孔雀、盛りだくさんです。
この関羽の像は7mもあったそうで、江戸中で大評判をとりました。
よくよく見ると、実像ではなく静止した人形を写しているのがわかります。
豊干禅師と法話をしている唐人、麒麟、獅子、牛、馬、安達ヶ原の一つ家、鳳凰。
どれも籠細工です、籠細工を暗示する為に、バックのデザインを籠目模様にしています。
全部、一田庄七郎の籠細工を写した作品です。青龍刀や周倉は陳寿の歴史書の三国志には無く
三国志演義に見られます。
江戸情緒あふれる獅子。狩野派を彷彿させます。
この作品の作者名は五渡亭国貞(三代歌川豊国)です、江戸後期に抜群の人気を誇り、
若くして豊国門下の一番弟子になり、同じ門下の歌川国芳と競いました。
当時は国貞の方が格段に人気があり、1万点を超えると言われる作品群を残し、現在でも
浮世絵専門店で販売されているのは、国貞の作品が多数あります。
対して国芳は遅咲きで水滸伝シリーズでようやく注目されて人気作家となりました。
国貞はデザイン性に優れ、色彩感覚も抜群、役者の似顔絵を得意とし、写楽の反対で
繊細に美化してスターを憧れの対称として描き、喝采を浴びました。
国芳は同じ土俵ではかなわず、男性的な武者絵や戯画に活路を見出しました。
現代ではあまりにも作品が多く、代表的な作品はどれだかわからない国貞を尻目に国芳は
戯画を中心として強烈な個性で個展が大盛況となっています。
これからは、国貞の面白い作品、良い作品を体系化して単体の浮世絵作家として見直し
正当な評価を得る事を期待します。
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